コラム a HOUSING COLUMN

いまさら聞けない。UA値って何?断熱について

2025.06.06
性能
断熱

こんばんは。

堺市の工務店で注文住宅を建てているグローハウジングアラカワの吉川です。

家づくりで見落とされがちですが、実はとても重要なのが「断熱」です。断熱性能は、快適さだけでなく光熱費、健康、そして家の寿命にも大きく影響します。今回は、住宅における断熱の基本知識を4つの視点からご紹介いたします。

1. UA値とは何か?〜「家の省エネ力」を数値で測る〜

UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅の外皮(壁・窓・床・天井など)から失われる熱量を示す数値で、「住宅の断熱性能」を評価する指標です。単位は「W/㎡・K」で、数値が低いほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを意味します。

例えば、UA値0.87W/㎡・Kよりも、UA値0.46W/㎡・Kの方が断熱性が高い家です。現在、長期優良住宅やZEH(ゼロエネルギーハウス)など、高性能住宅ではこのUA値が厳格に求められるようになっています。

2. 地域によって異なる「断熱等性能等級」と区分

日本は南北に長く、地域によって気候が大きく異なるため、断熱基準も地域ごとに設定されています。国は全国を1~8地域に区分し、それぞれに最適な断熱基準が設けられています。

地域区分と気候の違い

  • 1〜2地域:北海道などの寒冷地
     → 厳しい寒さに耐える高断熱が必要
  • 3〜4地域:東北・北陸などの雪国
     → 暖房効率を重視した断熱
  • 5〜6地域:関東・近畿など温暖地
     → バランス重視の断熱
  • 7〜8地域:九州・沖縄など暖かい地域
     → 冷房負荷を抑える工夫も必要

地域によって基準UA値も変わるため、「同じUA値=同じ快適さ」ではない点には注意が必要です。設計段階から自分の住む地域の特性に合わせた断熱性能を意識しましょう。

2022年に実に23年ぶりに断熱等性能等級4を超える上位等級が新設されました。

現在断熱等級は等級1~7で示されていて、2025年には断熱等級4(UA=0.87)が義務化になります。

3. 断熱とは何か?〜快適・健康・省エネを支える柱です〜

断熱とは、外気の影響を室内に伝えにくくするための技術です。冬は屋内の暖かさを逃がさず、夏は外の暑さを遮る働きをします。

★断熱の主な効果★

  • 快適性の向上:室温が安定し、冷暖房に頼りすぎず過ごせる
  • 健康維持:ヒートショックのリスク軽減やアレルギー対策にも有効
  • 光熱費削減:エアコン稼働を抑え、省エネに貢献
  • 建物の劣化防止:結露を防ぎ、構造材の腐朽を防ぐ

ヒートショックによる死亡事故は交通事故で亡くなる方の約三倍にも及ぶといわれております。断熱性能が高い住宅ではそのリスクが大幅に抑えられる事がわかりました。

また、断熱は気密性とセットで考えることが重要です。どんなに良い断熱材を使っても、隙間だらけでは効果が薄れてしまいます。断熱+気密、この2つで初めて快適な住まいが実現します。

アラカワでは2024年に建てさせていただいたお家で気密測定をさせて頂いたところ、【C=0.1㎠/㎡】の結果がでております。気密性は良い商品ではなく、施工性で変わります。アラカワでは信頼のできる大工さんに建てていただいております。

気密は施工性なので良いものを使えばいいわけではありませんので、努力でできます。ただ断熱性をあげるには、【いい断熱材】と【いいサッシ】でUAの値が変わってきます。

4. 断熱の施工方法と種類について

断熱の施工方法にはいくつか種類があり、建物の構造やコスト、性能に応じて選択されます。

★主な断熱工法は3つ★

【充填断熱工法】

柱の間に断熱材を詰め込む方法。日本の在来木造住宅で多く採用されています。

  • 断熱材:グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなど
  • 特徴:コストを抑えやすいが、施工精度に左右されやすい

【外張り断熱工法】

建物の外側を断熱材ですっぽり覆う方法。気密性が高く、断熱効果が安定。

  • 断熱材:ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームなど
  • 特徴:断熱欠損が少なく、冷暖房効率が高い

【付加断熱(ダブル断熱)】

充填+外張りのハイブリッド。北海道などの高断熱住宅に多く使われます。

  • 特徴:断熱性能が非常に高いが、コストも高め

今回は充填断熱工法の中でも種類があるのでいくつかご紹介させて頂きます。

断熱種類熱伝導率 (W/m・K)メリットデメリット施工コスト㎡目安
ロックウール(石)0.038シロアリに強い 燃えにくい 防音性湿気に弱い
施工差がでる 結露で断熱材が劣化する
1200~1800円/㎡
グラスウール(ガラス)0.038シロアリに強い 燃えにくい湿気に弱い 施工差がでる 結露で断熱材が劣化する700~1200円/㎡
セルローズファイバー(新聞紙)0.040高密度 燃えない 調湿効果施工手間 費用が高い×3000~4500円/㎡
ウール0.040環境にやさしい 調湿効果施工差がでる 費用対効果が悪い××4000~5000円/㎡
押出法ポリスチレンフォーム(XPS0.028湿気に強い 軽い高い 熱・火に弱い×1500~2500円/㎡
硬質ウレタンフォーム0.034強固な自己接着力 吸音性 施工性がいい高い 熱・火に弱い×3000~5000円/㎡
フェノール フォーム0.02熱・火湿気に強い 劣化しにくい高い  費用が高い シロアリに弱い×4500~6000円/㎡

※金額と熱伝導率は目安です。商品によって変わります。

窓も種類がたくさんあります。一番いいのは窓より壁の断熱です。

建築基準法では居室は最低限の採光(居室の床面積の1/7の面積)が必要になるので、窓の無いお家は不可能ですね。

断熱性ののことを考えると窓は少ないほうがいいですが、窓の種類によっても熱貫流率が違うので大きい開口の窓には、熱貫流率の悪い窓を選ぶのがいいいです。

まとめ:断熱は「未来の暮らし」への投資

断熱性能は、建てた後の暮らしやすさ、健康、省エネ、さらには資産価値にも大きく関わります。目に見えない部分ではありますが、「断熱」は住まいづくりにおいて絶対に妥協してはいけないポイントです。

これから家を建てる方、リフォームを検討されている方は、UA値や地域区分、断熱材の特徴、施工方法をしっかり理解した上で、信頼できる施工会社とともに最適な断熱計画を立てていきましょう。