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【体感してわかる断熱性能】サッシと断熱材から見る「省エネ基準の変化」と未来の家づくり

2025.07.12
省エネ住宅とは

こんばんは。

堺市の工務店で注文住宅を建てているグローハウジングアラカワの吉川です。

住宅の性能を決めるうえで、「断熱」と「窓(サッシ)」は非常に重要な要素です。
先日、LIXIL南港ショールームで断熱技術を実際に体感できる「住まいstudio」に足を運ぶ機会がありました。
断熱性能の違いを肌で感じながら、住宅の省エネ性能がここまで進化していることに驚かされました。

そこで今回は、住宅の断熱性能とサッシの進化を通して、
過去の基準・現在の基準・そして今後の省エネ基準がどう変わっていくのかを、わかりやすくご紹介します。


■ 断熱体感ルームで感じた“目に見えない違い”

断熱体感ルームでは、例えば「昔の家(S55)」と「今の家(H28)」「これからの家」を比べられるコーナーが設置されており、同じエアコン設定温度でもまったく体感温度が違いました。

・エアコンをつけた直後から涼しさを感じる
・室内の温度が安定していて、冷暖房が切れても快適さが長持ちする
・窓際にいても寒くない、暑くない

これらの違いを体で感じることで、普段見えない断熱材やサッシの性能が、どれだけ住宅の快適さと省エネに影響するかを改めて実感しました。


■ 省エネ基準の歴史と進化

【1】昔の基準(1980年〜1992年基準)

かつての日本の住宅は、「とにかく建てやすさ・安さ重視」で、断熱性能はあまり重要視されていませんでした。
単板ガラスの窓、薄い断熱材、隙間風のある構造が当たり前で、夏は暑く、冬は寒い家が多かったのが実情です。

1980年には簡易的な省エネ基準(旧・省エネ基準)が設定され、1992年には地域区分による断熱仕様の基準が導入されましたが、それでもまだ“最低限の性能”といった程度。
「冷暖房することを前提とした家づくり」が一般的であり、エネルギー効率という観点は重視されていなかった時代です。

実際エアコンとつけた部屋で体感してきました。

部屋の隅と床の所で温度差が11℃もあります。人が不快を感じる温度が頭と足先の差が4℃以上。

体感としては、すごく寒く感じました。ヒートショックも不安ですし、エアコンをつけているにも関わらず寒く光熱費がすごく高くなっておりました。

写真を見て頂くとわかるのですが、足元が青白くなってしまっております。


【2】現在の基準(2013年改正省エネ基準)

2013年には、現在の「外皮性能(UA値・ηA値)」に基づく省エネ基準が制定され、住宅の断熱性能に対する評価が明確化されました。

特に重視されているのが「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。
これは住宅の外に面する壁・屋根・床・窓からどれくらい熱が逃げるかを示す指標で、値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

例えば、6地域(大阪や名古屋など)の省エネ基準では、UA値が0.87以下であることが求められています。


これにより、住宅には高性能な断熱材や、複層ガラスの窓(Low-E複層ガラス)が標準的に採用されるようになりました。

また、サッシもアルミから「アルミ+樹脂の複合サッシ」や「樹脂サッシ」へと進化。
フレーム自体の断熱性が向上することで、窓全体の性能も大きく向上しています。

先ほどの部屋で比べると部屋の隅と床で6℃ぐらいです。まだ4℃以下にはなっていないですね。さっきと比べるとサーモグラフでみるとまだ足元が冷え切っていないですね。

こちらで断熱等級4相当です。ただまだ換気性能までこだわられるところではないので、換気の所から外気が直に入ってくるので換気の下と床では10℃ぐらい差がありました。


【3】2025年からの基準義務化と、2030年の未来基準

いよいよ2025年からは、すべての新築住宅に対して「省エネ基準への適合」が義務化されます。
これまで“努力義務”だった断熱性能が、法的な必須条件になるということです。

また、国は**2030年を目処に、「ZEH水準の住宅を新築住宅の標準にする」**という目標を掲げています。
ZEHとは、太陽光発電などでエネルギーを自給自足しつつ、消費エネルギーを抑えた「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のこと。

このZEHの断熱性能は、6地域でUA値0.60以下が目安とされています。


すでに先進的な住宅では「UA値0.4台」や「トリプルガラスの樹脂サッシ」が採用されており、これが今後のスタンダードになっていくと考えられます。

換気設備も熱交換ができる外気を直に入れる事のないものが普及してきております。

サーモグラフでみてみるとよくわかるのですが、足元まで冷えていないのがわかります。部屋の隅と床の温度差も1.4℃ぐらいです。4℃以下になるので、快適に健康に過ごせる温度になりますね。


■ サッシと断熱材の性能が家計と快適さを左右する

サッシと断熱材の性能を高めることで得られるメリットは、省エネだけにとどまりません。

  • エアコンの効きが良くなる=光熱費が抑えられる
  • 部屋の温度差が減り、ヒートショックなどの健康リスクも軽減
  • 外気温の影響を受けにくく、夏も冬も快適な室内環境
  • 防音性も高まり、外の騒音が気にならなくなる

健康と性能はかなり、密接な関係ですね。

さらに高断熱住宅は、住宅の劣化を抑える効果もあります。結露が起きにくく、木材や壁紙などの寿命が長くなるのです。


■ 家を建てるなら「断熱体感」はマスト体験

これから家を建てる方にぜひおすすめしたいのが、実際に断熱体感ルームなどで「性能の違い」を感じてみることです。

カタログや数値ではなかなか伝わらない断熱の効果が、体感することで明確になります。
家族の健康、家計へのやさしさ、そして快適な住環境の実現には、見えない部分である「断熱」と「サッシ」にこそ、こだわるべきです。


■ まとめ|これからの住宅は「性能」が基本になる時代へ

昔のように「家は寒い・暑いのが当たり前」という時代はもう終わり。
住宅の性能は日々進化し、省エネ基準も年々厳しくなっています。

これからは、ただ家を建てるだけではなく、
「どれだけエネルギーを使わずに快適に過ごせるか」という視点がとても大切になります。

今回は私たちは夏の体験はしませんでしたが、夏の体験もできるのでぜひ体験して頂きたいです。

ぜひ家づくりの際は、サッシや断熱材の選び方にも注目してみてください。

気になる方はぜひ資料請求からお願いします。